思い出の旅その2

大学2年生の頃だったか、お正月にとんでもない回り道をして山口に帰ったことがある。当時は大垣夜行がまだボックスシートの車両だった頃、安眠など夢のまた夢であった。そこで考えたのが、京都周辺の終夜臨。大晦日元旦だけ走る臨時列車だ。実は前年、大阪から姫路までこれに乗って味をしめていたのだ。
 大晦日の初電で出発、赤羽から高崎行きの列車に乗り込む。ボックスシートが意外といっぱい。高崎まで乗り通して、そこから信越本線長野行きに乗り換え。この列車も混雑していた。今は無き横川軽井沢間を抜け、小諸、上田と進む内に雪景色になった。長野で直江津行きに乗り換え。長野で駅そばを食べる。駅そばがおいしいと思ったのは初めてかもしれない。長野からの列車は空いてきた。快適に黒姫、妙高高原を抜けると、荒々しい天候の日本海側に抜けた。どんより曇って、風の強い直江津の駅は身に凍みた。
 直江津からは、快適な急行型列車の旅。荒々しい日本海を眺めながら、糸魚川を抜け、いつしかこっくりこっくりしていた。車内はがらがらだった。富山で乗り換え。ここではじめに乗った車両は混雑していたが、富山駅でしばらくすると後ろに3両増結されたので、増結車両にてゆったりと旅行。金沢に初めて鈍行で降り立つ。金沢からは3両編成。混雑を予想していたが、混雑は小松までで後はがらがら。福井に近い駅で、高崎からずーっと一緒の人がいるのに気がついて、お互いほほえみあってしまう。すっかり日が暮れて、敦賀に到着。敦賀から、小浜線に乗り換え。今や電化された小浜線だが、この時はディーゼルカー。意外と多くの人を乗せて真っ暗な小浜、舞鶴へ。綾部で京都行きの各駅停車に乗り換えて、うつらうつらしていると日の変わった京都に到着。元旦であり、とってもにぎわった京都駅が印象的だった。
 そのまま、奈良まで奈良線で行き、少し徘徊してから奈良発西明石行きの列車に乗り込む。転換クロスシートの快適な旅だが、寒い。うつらうつらしながら、終点の西明石へ。大阪でたいそうにぎわって、西明石からそのまま姫路行きになり、姫路まで一直線。5時過ぎに姫路に到着。姫路からの初電を乗り継いで、瀬戸へ。瀬戸から岩国行き直通列車に乗車し、そのままぐっすりと寝てしまった。元旦の旅は空いていて良い。