捏造記事の顛末

研修医めぐる記事に「報道と人権委」見解
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000000907110002
2009年07月11日

 朝日新聞社の「報道と人権委員会」(PRC)は10日、宮崎版の連載記事「医師不足の現場から(下)」(4月2日付)について、記事に登場する研修医の名誉や信用を著しく棄損している、とする見解を決定した。見解は、記者の思い込みから事実に反する記事の掲載になった、と指摘している。

 審理の対象になったのは、宮崎大学医学部を卒業し、済生会熊本病院で研修している河津英里さんに関する記述部分。河津さんは、発言していない言葉を自分の言葉として書かれるなど、発言の趣旨が著しくゆがめられて報じられたと主張していた。朝日新聞社宮崎総局は、河津さんの主張を大筋で認めて「おわび」(4月14日付)を掲載した。だが、朝日新聞社側の対応をめぐって意見の対立が解けず、双方が委員会に申し立てていた。

 見解は「宮大は医師免許取得の合宿所といったところ」など、河津さんが発言していないことを本人の言葉として書いたことを、記者の職業倫理に反するなどと批判。その他の記述でも、記者が思い込みから、河津さんの発言を都合よく解釈したり、拡大して受け取ったりした結果、誤報になったと判断した。また、掲載される記事内容を事前に河津さんに確認するという約束を、記者が守らなかったことも、職業倫理に反している、としている。

 さらに、こうした誤報が掲載された原因について、記者を指導する立場の総局長らの責任も大きく、「合宿所」などを河津さんの発言した言葉として掲載すれば、河津さんの社会的信用が傷つくことへの感性が欠如していた、と述べている。

 最後に、掲載された「おわび」の内容では、読者への説明や名誉・信用の回復が不十分であるとして、朝日新聞社に対して、記事が河津さんと宮崎大医学部の名誉と信用を傷つけたことを認めるよう求めている。

 PRCの委員は、本林徹・元日弁連会長、長谷部恭男・東大大学院教授、藤田博司・元共同通信論説副委員長の3氏。

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 見解の全文は、朝日新聞社のサイト(http://www.asahi.com/shimbun/prc/20090711.pdf)に掲載しています。

〈審理の対象となった記事〉
医師不足の現場から(下)」は、宮崎県内でも深刻化する医師不足の現状を描いた3回の連載企画の最終回。この中で河津さんは、宮崎大学医学部を卒業して、県外に流出した研修医として登場する。記事は「河津英里さん(26)は熊本市済生会熊本病院で研修中だ。(中略)出身地の熊本大学医学部を志望したが、『(入試が)ちょっと難しかった』。宮大側からは、宮崎に残るよう暗に促されたという。それでも、卒業後の研修先は『医療設備などが充実している環境で働きたかった』と宮崎を離れた。(中略)『ここを選んで良かった。宮大は医師免許取得の合宿所といったところ』と話した」などとしていた。

■大学と私への誤解を解いて
河津英里さんの話 今回の記事で、大変な精神的苦痛を感じていました。PRCの見解で、宮崎大学と私への誤解が解かれることを望みます。また、この見解を朝日新聞社が真摯(しん・し)に受け止めて、信頼される新聞づくりの糧にされることを期待します。

■真摯に受け止め、今後に生かす
宮川政明西部本社編集局長の話 河津さんと宮崎大医学部の名誉と信用を傷つけ、済生会熊本病院にもご迷惑をおかけしたことをおわびします。見解の指摘を真摯に受け止めて、今後の記者の教育・指導に生かし、信頼される紙面づくりに努めていきます。
(引用終わり)

 記者の脳内妄想で書かれた記事が多すぎるようなきがします。おもしろおかしく書きたいのでしょうが、完全なねつ造記事ではそこらの週刊誌以下です。インターネットの発達で、このような捏造記事が宮崎から遠く離れたOBの目にとまったとのことです。新聞やテレビが喧伝する、「インターネット上には誤った情報」とは、自分たち自身のことではないのでしょうか。